移動運用最終日
2006年8月1日
 いよいよ今回の移動運用での最終日がやってきた。
先月11日に千葉を出発してから三週間、目的の対馬、壱岐の 島々での運用もやっと終わろうとしている。
 多くの方々から応援をいただき、なんとか二人旅も元気に フィナーレになりそうだ。それにしても、島に渡ってからは 快晴と真夏の暑さに、島暮らしの旅、堪能できた。そして、 交信の世界でも、普段お世話になっているベテラン各局はじめ 多くの各局に声をかけていただいたことを心から感謝する。

 午前中、芦辺港へフェリーの乗船券を買いに行ったついでに 島の西側へ車で出かけてみた。毎日、早朝から正午まで、勝本 で開かれている「朝市」に顔をのぞいてみる。彼女の好きな イカの一夜干しが店舗に並んでいる。どうしても食べたい 彼女は、手持ちの金網がないので、近くの荒物屋をあたって いたが無い。売り子のおばさんたちは、なんとか一夜干し、 一袋千円を買わそうと、汚い使い古しの金網を「あげるよ」 とさしだしてくれた。しかし、うちのプロパンガスのコンロ にのせたら、きっと、焼け汁でコテンコテンになるにちがい ないと判断したのだろう。ついに諦めた。

 芦辺港に近い商店街に「ダイエイ」というスーパーがある。 大概のものは手に入る。百円ショップもあり、車の出入り口 と天井を開けたときに使うネットを買った。猛然と襲って くる蚊の侵入を防ぐためだ。さて、どうやって取り付けるか。
彼女のアイディアは秀逸だった。事務用の丸形のマグネット を使って、ネットを車体に固定する。やってみると、なるほど グッドアイディアだった。それにしても、私も含めて、蚊や虫 たちには喰われ放題だった。

 昼寝を済ませて、日暮れのテントにいってみると、フライング シートの出入り口を固定してあるアンカーボルトに、なにやら 可愛いアクセサリーが掛けてあった。誰がこんなものを、ここに 置いてくれたのか不思議だった。普通の女の子なら誰が持って いてもおかしくないアクセサリーだった。きっと草地に落ちて いたのを拾って、テントの足下のアンカーボルトに掛けておいて くれたのだろう。その気持ちが嬉しく、これは、まさしく左京鼻 の龍神さんの贈り物だと信じて、ポケットにそっとおさめた。
「龍神さま、大事にお預かりしますね」と。
 きっと、我がシャックに大事な思い出として、いつまでも 飾られることだろう。


左京鼻は快晴
 そんなことを、ふとつぶやきながら、夜のスケジュールを 始めた。今夜で、いよいよ最後の運用になる。周波数をチェック。 直ちに、いつものJA6ITH 局から挨拶が飛び込んでくる。
併せて、岡山からJA4MVG局が「こんばんは」の声。今夜も ゼロエリア、松本市からリクエストがあるとか。しかし、 コンディションは良くない。上がりが短く、QSBにも悩まされて なかなかワンコール、ワンターンの交信に結びつかない。
どちらかのRSリポートがとれなくて涙をのむパターン。
 しかし、根気よく上がりを待って呼び続ける以外にない。 午後10時を回る頃になり、「そろそろお開きにしましょうか」 となる。「よし、では、今夜もFM に行きますか」
 FMモードでの運用には、実際に聞いてみて驚かされる。
 とても強力でクリアだからだ。何局かと交信の後、SSBででも おしゃべりをしているうちに、ちらほらと何局かが呼んで くださる。今晩のファイナルコールは、横浜の7K3MFL局から 岡山経由でのデジタルQSOだった。

「各局、対馬から壱岐島までの交信の日々をお付き合いいただき 本当にありがとうございました。すべての予定を終え、明日は 博多へ戻ります。カードはなるべくはやくお送りします」

「大島さん、お疲れさまでした。気をつけてお帰りください」

「JG4BUO/4局大森さんありがとうございました。お世話に なりました」

「JA5DZI市原さん、とうとうゼロエリアは聞こえなかったが 残念でしたね。最後までゼロエリア局へのQSPありがとう ございました」

「JA4MVG局、各局によろしくお伝えください。ありがとう ございました」

「では、これでファイナルです。各局お休みなさい」 「これにて430,170オープンになります」

 左京鼻の夜の草地に静けさが戻ってきた。
今宵も北斗七星、ポラリス。カシオペアが、頭上に輝きながら 横たわっていた。
 撤収のための作業はすべて明日に。ログ帳とトランシーバを 手に、駐車場の車へ帰り着く。これで、終わった。
 初めに予定していた長崎行き、五島の福江行きは、滞在時間 に余裕がなくなったので、今回は断念せざるを得なかった。
 また、次の機会にご期待ください。